クラフトビールをつくるにはどんな「設備」が必要か?
クラフトビールをつくるには「設備」が必要です。
ただし大手ビールメーカー並みの大型設備は必要ありません。
小規模なスペースに、各工程ごとの設備があればつくることができます。
今回は、クラフトビールをつくるにはどんな「設備」が必要かについて、どこよりもわかりやすくご紹介します。
①麦芽粉砕機
1つ目の設備は麦芽粉砕機です。
麦芽粉砕機とは「麦芽の粉砕」の時に使われる設備です。
❶麦芽の粉砕とは?
1つ目の工程「麦芽の粉砕」とは麦芽を粉々にして、デンプンを抽出しやすくするための工程のことです。
麦芽粉砕機を使って麦芽を細かく粉砕し、デンプンを露出させます。
ブルワリーの中には麦芽サイロからコンベアシステムで麦芽粉砕機につながっているところもあります。
➁糖化用タンク
2つ目の設備は糖化用タンクです。
糖化用タンクとはデンプンを「糖化」する時に使われる設備のことです。
一般的に糖化用タンクはラーメン屋さんでスープをつくる時に使われる寸胴鍋を大型にしたような形をしています。
❷糖化とは?
2つ目の工程「糖化」とはデンプンを糖分に変える工程のことです。
粉々にした麦芽とお湯を混ぜることで糖化を促進します。
糖化用タンクの中で、麦芽をお湯で加熱処理して「糊状(糊化)」し、45℃〜50℃に保ちタンパク質の分解を行います。
タンパク質が分解されると糖化完了です。
➂ビールフィルター
3つ目の設備はビールフィルターです。
ビールフィルターとは「マイシェ」を固形物と液体に分離させる金属製のネット型のフィルターのことです。
一般的に「マイシェ」用のビールフィルターは、それほどきめ細かくなくてもよく、味噌漉し程度のフィルターでも問題ありません。
「マイシェ」とは糖化後のドロドロした麦汁のおかゆのようなものです。
❸ろ過とは?
3つ目の工程「ろ過」とは「マイシェ」を、フィルターで固形物と液体に分離させる工程のことです。
④煮沸用タンク
4つ目の設備は煮沸用タンクです。
煮沸用タンクとはろ過した麦汁をホップと共に煮沸するためのタンクのことです。
一般的な煮沸用タンクは寸胴鍋を大型化したものに放熱を防ぐフタと煮込んだ麦汁を取り出すためのノズルが付いています。
❹煮沸とは?
4つ目の工程「煮沸」とはろ過した麦汁に水を加えて強い火力で煮込む工程のことです。
❺ホップの投入とは?
5つ目の工程「ホップの投入」とは水を加えた麦汁を煮込んだ後に、ホップを投入する工程のことです。
ホップを何段階かに分けて投入し、最初は苦味付け、最後に香リ付け用のホップを投入します。
❻ワールプールとは?
6つ目の工程「ワールプール」とは、煮沸とホップの投入が終わった麦汁の中の不要物を取り除く工程のことです。
❼冷却とは?
7つ目の工程「冷却」とは麦汁を酵母が働きやすい温度にまで冷却する工程のことです。
一般的には、高温の「上面発酵(エール)」で15〜25度、低温の「下面発酵(ラガー)」で10度前後のいずれかの温度にまで冷却します。
煮沸から冷却までの工程が煮沸用タンク内で行われます。
⑤発酵用タンク
5つ目の設備が発酵用タンクです。
発酵用タンクとは麦汁に酵母を加えて、麦汁の中の糖分をアルコールと炭酸ガスに分解させる時に使われるタンクのことです。
一般的に発酵用タンクは糖化用タンクや煮沸用タンクのような寸胴鍋を大型化したものではありません。
外観が底部が尖っているコニカル型のデザインで、内部が安定した発酵を可能にする3槽構造になっています。
また高性能な発酵用タンクには、チラーで温度を制御した水を循環させる装置、排出口には回転式のラッキングアームなどが付いています。
❽発酵とは?
8つ目の工程「発酵」とは麦汁に酵母を加えることでアルコールと炭酸ガスを生成する工程のことです。
クラフトビールの「発酵」とは、麦汁を「ビール」に変える工程ともいえます。
一般的に麦汁内の糖分の濃度が高いほど、アルコール濃度が高くなり、アルコール度数が高いビールになります。
⑥熟成用タンク
6つ目の設備が熟成用タンクです。
熟成用タンクとは一次発酵が終わったビールを一定期間熟成させるために保管するためのタンクのことです。
簡単にいうと「若いビール」を「本物のビール」にするためのタンクのことになります。
❾熟成とは?
9つ目の工程「熟成」とは二次発酵の工程のことです。
二次発酵とは、粗い「若ビール」を低温で熟成させ、香り、炭酸、キレ味を調整することです。
また熟成すると酵母が沈殿し上澄液が澄んできます。
⑦ろ過圧搾機
7つ目の設備がろ過圧搾機です。
ろ過圧搾機とは熟成したビールをろ過して、酵母や不要物を取り除く設備のことです。
また酵母を完全に取り除くために熱処理をすることもあります。
❿ろ過とは?
10個目の工程「ろ過」とは酵母や不要物を取り除く工程のことです。
もし酵母がビールに残っていると発酵がどんどんすすむのでろ過して発酵を止める必要があります。
またろ過工程の時に不要物だけ取り除き、酵母を残すことで酵母の旨味を活かした独特の旨味を持ったクラフトビールをつくることもあります。
⑧樽・瓶・缶充填機
8つ目の装置が樽・瓶・缶充填機です。
樽・瓶・缶充填機とは、出来上がったビールを樽・瓶・缶に詰め込むための装置のことです。
⓫樽・瓶・缶充填とは?
11個目の工程「樽・瓶・缶充填」とは、ビール製造の最終工程のことです。
別名「パッケージング」ともいいます。
樽・瓶・缶充填はブロワリーのコンセプトにぴったりあった容器に充填します。
⑨温水タンク・冷水タンク
9つ目の設備は温水タンク・冷水タンクです。
温水タンクとは糖化を促進させる時に使うお湯をつくるためのタンクのことになります。
冷水タンクとは麦汁を冷却する冷水を保管するためのタンクのことです。
クラフトビールづくりには大量のお湯や冷水が必要になるので温水タンク・冷水タンクは欠かせません。
まとめ
今回は、クラフトビールをつくるにはどんな「設備」が必要かについてご紹介しました。
クラフトビールをつくるには今回ご紹介した設備があればつくることができます。
今回ご紹介した設備以外にも、さまざまな設備を活用することで、より高品質で、効率的にクラフトビールをつくることが可能です。
ぜひ、一度今回ご紹介した設備をお試しになってみることをおすすめします。
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