日本酒の「利き酒」とは何か?利き酒をする目的とは?
日本酒の「利き酒」とはどんなものでしょうか?
日本酒を知る時にもっとも有効な手段といわれているのが「利き酒」です。
利き酒をすると、日本酒のことがわかるようになります。
では、利き酒とはどんなものなのでしょうか。
今回は、日本酒の「利き酒」とは何かについてどこよりもわかりやすくご紹介します。
利き酒とは何か?
利き酒とは、日本酒を実際に味わって品質を確かめることです。
具体的には、五感の中の主に「視覚」「嗅覚」「味覚」を使って「色合い」「香り」「味わい」を総合的に判断するものです。
「利き酒」の読み方は「ききざけ」と読みます。
また「唎酒」や「きき酒」とも表記されます。
もともとは酒蔵(さかぐら)が出荷前のお酒の良し悪しをチェックするために社内の品質検査としておこなわれていたのが利き酒のはじまりです。
そのため本来は現在行われているお酒の銘柄・産地・使われているお米などを当てるイベントのことではありません。
酒蔵とは、古来の日本から続くお酒をつくる施設のことです。
現在おこなわれている3つのタイプの「利き酒」の違い
現在日本では3つのタイプの「利き酒」がおこなわれています。
ポイントは「目的」がまったく違うことです。
こちらでは3つのタイプの「利き酒」の違いについてわかりやすくご紹介します。
❶酒蔵が出荷前のお酒をチェックするため
1つ目は酒蔵が出荷前のお酒をチェックするための利き酒です。
こちらはもともと昔から各酒蔵でおこなわれていた本来の利き酒です。
酒蔵が利き酒をする目的は、昔の酒つくりは人の感覚でおこなっていたので、品質にバラツキがあり、酒蔵が出荷前に酒質の良し悪しを判断するためにおこなっていました。
要は自社製品の品質チェックです。
対象は自社の社員です。
また現在では、出荷前の品質検査だけでなく、今後の商品開発のための意見交換会のような取り組みもやっています。
ただしあくまでもつくり手視点の意見なので、消費者のニーズを捉えた意見ではなく、つくり手がつくりたいマニアックでこだわりのあるお酒になります。
❷酒蔵・酒販店などが開催するお酒の味見会
2つ目は酒蔵・酒販店などが開催するお酒の味見会の利き酒です。
こちらは主に酒蔵・酒販店などが開催する新酒や初酒のプロモーションが目的におこなわれる利き酒になります。
酒蔵・酒販店などがお酒の味見会をする目的は主に次の3点です。
1⃣自社ブランドのお酒を長く愛してくれるファンをつくること
2⃣地元民とのふれあいや地元での年一回の風物詩として
3⃣自社ブランドのお酒をSNS・プレスリリース・マスコミを使っての拡散・報道してもらうため
酒蔵や酒販店が主催する利き酒会は、消費者参加型でさまざまな種類のお酒を飲み比べたりするイベントです。
具体的には搾りたての生原酒・レギュラー酒(割水)の初酒・お酒の仕込みに使う仕込み水・新酒を絞ったときにでる酒粕でつくった甘酒などの飲み比べなどがあります。
毎年恒例の行事なので、酒蔵のファンや地元民には人気のイベントです。
❸利き酒の能力を競う競技会
3つ目は利き酒の能力を競う競技会の利き酒です。
こちらは完全に利き酒の能力を競う競技会です。
利き酒の能力を競う競技会をする目的は主に次の5点です。
1⃣日本酒の利き酒師の知識と技術の向上と競技会主催者の認知度アップ
2⃣日本酒と日本酒にまつわる文化と歴史の啓蒙活動
3⃣「唎酒師」の資格取得のための広報活動
4⃣日本酒づくりの技術向上
5⃣地域経済の振興
対象者は「日本酒の愛好家」と「酒造会社の関係者」に分かれます。
日本酒愛好家の方が主に「唎酒師」の資格者同士の競争で、酒造会社の関係者の方が主に日本酒づくりの技術向上のための競争です。
現在は「唎酒師」の資格者同士の競争の方がクローズアップされています。
利き酒とはどんなことをやるのか?
利き酒とは「視覚」「嗅覚」「味覚」を使って、お酒の「色合い」「香り」「味わい」を総合的に判断するお酒の「官能検査」です。
基本的には3ステップでお酒を評価します。
こちらでは利き酒の3つのステップについてわかりやすくご紹介します。
「官能検査」とは、人間の五感「見る」「聞く」「味わう」「嗅ぐ」「触れる」時の感覚をもとに製品の品質を検査する方法のことです。
❶お酒の色合いの確認
お酒の色合いの確認とは「お酒自体の色」と「お酒の粘性(とろみ)」を確認することです。
一見お酒は「透明」ですが、実際には「黄色」「緑色」「白濁色」などいろんな色があります。
また日本酒の残留物が多いと粘性が高く、残留物が少ないと粘性が低いという特徴があります。
粘性が高いとミネラル分が多いということで旨くて甘く、粘性が低いとミネラル分が少ないということでさっぱりして辛口です。
❷お酒の香りの確認
お酒の香りの確認とは、お酒の持つ香りの特徴を確認することです。
お酒をワイングラスに入れて、立ってくる香りを「上立ち香(うわだちか」、お酒を口に含んだ時の香りを「含み香(ふくみか)」といいます。
お酒の香りは幅が広く、いろんな香りがあります。
❸お酒の味の確認
お酒の味の確認とはお酒を口に含んだ時の味わいを確認することです。
お酒の味の確認は3段階で確認されます。
1⃣アタック
アタックとは最初にお酒を口に含んだ時の口当たりのことです。
スムーズなのか、ラフなのかで判断します。
2⃣ボディ
ボディとは味わいの中心のことです。
味わいが重いのか、軽いのかで判断します。
3⃣アフター
アフターとは、お酒の味わいが消えた時の「余韻」のことです。
キレがある、キレがないかで判断します。
まとめ
今回は、日本酒の「利き酒」とは何かについてご紹介しました。
利き酒とは本来酒蔵がおこなうお酒の品質品評会のことでした。
ところが現在は利き酒の能力を競う競技会というイメージが一般的です。
日本酒を今よりもメジャーなお酒にするには「競技会」をすることは良い取り組みかもしれません。
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