日本酒の「日本酒度」とは何か?日本酒度を使う本当の目的とは?
日本酒選びの指標の1つになるのが「日本酒度」です。
日本酒度は、一般的にお酒のラベルに記載されています。
日本酒度がわかると、実際にお酒を飲まなくても「甘い」のか「辛い」のかがわかるといわれています。
では、日本酒度とはそもそもどんな指標なのでしょうか。
今回は、日本酒の「日本酒度」とは何かについて、どこよりもわかりやすくご紹介します。
日本酒度とは何か?
日本酒度とはお酒の「甘さ」や「辛さ」の目安を示す指標のことです。
ただし正確にはお酒の中の「糖分の比重」を示す指標です。
そのためお酒の中の「糖分の含有量」ではありません。
水に対して、そのお酒がどれくらい重いかを測った時の指標が日本酒度です。
「日本酒度」はいつから使われるようになったのか?
「日本酒度」が使われるようになったのは80年代からといわれています。
おそらくは「日本酒の淡麗辛口ブーム」の前後から、各蔵元の杜氏が使うようになったのではないかといわれています。
「日本酒度」が使われ出した理由とは?
「日本酒度」が使われ出した理由は、つくり手が「お酒をいつ搾るか」を判断する指標の1つとして使われ出したといわれています。
お酒を搾るとは「もろみ」から、日本酒を搾り出すという工程のことです。
お酒はタンク内での発酵が終わると「もろみ」になり、次に「もろみ」を搾ります。
すると「もろみ」は「液体」と「固形物」の2つに分かれます。
この時の液体が「日本酒」で、固形物が「酒粕(さけかす)」です。
お酒づくりでは「搾り」は重要な工程になります。
その理由はお酒の味を設定するための工程だからです。
この時、以前から行われていたつくり手の勘に頼るのではなく「日本酒度」という客観的な指標を使うようになったのではないかと思われます。
日本酒度を使うと、醸造中のお酒の中での「でんぷん ⇒ ブドウ糖 ⇒ アルコール」の変化を数値で測ることが可能だからです。
「日本酒度」はどうやって測っているのか?
日本酒度は「日本酒度計」という「浮秤(うきはかり)」を使って測ります。
日本酒度の測り方は次の通りです。
1⃣日本酒度を測りたいお酒の温度を15℃に設定する
2⃣15℃になったお酒をシリンダーに入れる(液体の高さがわかる容器に入れる)
3⃣お酒が入っているシリンダーの中に日本酒度計を浮かべる
4⃣日本酒度計が糖分の比重によってシリンダーの中で浮き沈みをする
5⃣日本酒度計の動きが止まったら、お酒の上面が日本酒度計の目盛のどこにきているかを測る
日本酒度計の目盛で、お酒の上面がある箇所がそのお酒の日本酒度です。
「日本酒度計」の見方とは?
日本酒度計の見方は、お酒づくりに詳しくない人にはわかりづらいというのが正直なところです。
こちらでは日本酒度計の見方についてどこよりもわかりやすくご紹介します。
1⃣日本酒度計が沈み、お酒の上面が「プラス」を指している時
この場合、お酒の中の糖分の比重が低いということです。
糖分の比重が低いので、アルコール分の比重が高く「辛口」のお酒ということになります。
2⃣日本酒度計が浮き、お酒の上面が「マイナス」を指している時
この場合、お酒の中の糖分の比重が高いということです。
糖分の比重が高いので、アルコール分の比重が低く「甘口」のお酒ということになります。
ただし日本酒度計の指す「プラス」「マイナス」は、直接日本酒の「甘口」または「辛口」を決めるわけではないのでご注意ください。
またお酒を15℃にする理由は、水は4℃が一番重いので水が一番重い15℃にして、4℃の水と同じ環境にお酒を合わせるためです。
日本酒度計の見た目・仕組み・構造・原理について
こちらでは日本酒度を測る上で、欠かせない日本酒度計の見た目・仕組み・構造・原理についてわかりやすくご紹介します。
1⃣日本酒度計の見た目
日本酒度計の見た目は釣具の「ウキ」のような形です。
アルコール温度計のようなイメージで、材質はガラスです。
2⃣日本酒度計の仕組み
日本酒度計の仕組みは、本体を温度が4℃の純水に浮かべると「数値が0」になるようにつくられています。
3⃣日本酒度計の構造
日本酒度計の構造は「胴部」と「目盛部」の2つから構成されています。
胴部は下端に「なまり玉」などを入れ重さの調整をする機能があります。
目盛部では、お酒に入れた時に、お酒の上面が指した箇所が日本酒度になるような設定です。
目盛部はアルコール温度計のように中央の「0」が起点になり、上下にすすむほど数値が高くなります。
目盛りには「日本酒度目盛」が採用されています。
4⃣日本酒度計の原理
日本酒度計の原理にはアルキメデスの原理を採用しています。
アルキメデスの原理とは「液体中にある物体は、その物体がおしのけた液体の重さの分だけ軽くなる」という原理です。
まとめ
今回は、日本酒の「日本酒度」とは何かについてご紹介しました。
日本酒度は、もともとはつくり手の間でお酒の糖分の比重を示すための指標として使われていました。
ところがお酒のラベルに「甘口」「辛口」として表示されることになり消費者に本来の目的を誤解されてきた指数です。
現在は、日本酒の「甘口」「辛口」を判断する指標として、専門家の間では「グルコース度」が使われるようになってきました。
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