日本酒の「酒蔵」とは何か?日本に酒蔵はどれくらいあるのか?
日本酒の「酒蔵」とはどんなものでしょうか?
日本酒づくりを調べている時によく出てくるのが「酒蔵」です。
日本酒づくりにもっとも関係する場所であることがわかります。
ただし日本酒づくりに詳しくない人からすると、いまひとつわかりにくい場所です。
では、日本酒の「酒蔵」とは一体どんなものでしょうか。
今回は、日本酒の「酒蔵」とは何かについて、どこよりもわかりやすくご紹介します。
日本酒の「酒蔵」とは何か?
日本酒の酒蔵とは日本酒をつくっている施設のことです。
酒蔵の読み方は「さかぐら」と読みます。
酒蔵の意味は「お酒を醸造して貯蔵する蔵」という意味があります。
ちなみにビールをつくっている施設はブルワリー・ワインをつくっている施設はワイナリー・ウイスキーをつくっている施設はウイスキー蒸留所と呼びます。
日本酒の「酒蔵」ではどんなことがおこなわれているのか?
日本酒の酒蔵では、日本酒の醸造が行われています。
日本酒の醸造とは、日本酒の主原料であるお米・米麴・水・酵母・醸造アルコールを使って、糖化・発酵・熟成の各工程を経て日本酒をつくることです。
ちなみに本来の酒蔵は単なる酒造メーカーではありません。
その土地のお米や水を使って、伝統的な製法を守り、日本酒づくりの歴史を継承してきた存在です。
酒造とは何か?
酒造とは、お酒をつくることです。
読み方は「しゅぞう」と読みます。
もともと酒造が先で、後から酒造をする施設がつくられるようになって「酒蔵」と呼ばれるようになりました。
日本で正式に酒造が始まったのは、約1300年前の奈良時代頃です。
当時発行された「播磨国風土記」の中の一節に、酒造がおこなわれていたことが記載されています。
ただし当時は現在のような「酒蔵」の存在はありませんでした。
平安時代初期までの酒造は、朝廷の役所「造酒司(みきのつかさ)」でのみ酒造が行われていました。
いつから「酒蔵」は誕生したのか?
日本で「酒蔵」が誕生したのは、室町時代頃といわれています。
室町幕府以前は民間での酒造が禁止されていました。
民間での酒造が解禁になった理由は、室町幕府がお酒を財源にしたからです。
室町幕府が酒造を奨励したことで、京都を中心に酒造業が大きく発展することになります。
南北朝時代には、京都の洛中・洛外に酒屋が最大342軒もつくられたといわれています。
ちなみに「日本初の酒の銘柄(商標)」が誕生したのも南北朝時代です。
室町時代に確立された酒づくりの技術
江戸時代に作成された日本初の民間の酒造技術書である「御酒之日記(ごしゅのにっき)」によると、室町時代には酒づくりの技術が確立されていたといわれています。
主な技術は次の通りです。
1⃣醪(もろみ)の三段仕込みに関する技術
2⃣麹米・掛け米の精米に関する技術
3⃣火入れをすることでの加熱殺菌と発酵を止める技術
4⃣乳酸菌発酵を使った雑菌の繁殖を抑える技術
現在日本に「酒蔵」はどれくらいあるのか?
現在日本には、2021年時点で1394カ所あるといわれています。
特徴はもともと日本酒づくりが盛んな地域が多く、上位の3位までは次の通りです。
1⃣1位:新潟県(88)
2⃣2位:長野県(79)
3⃣3位:兵庫県(69)
日本の大手の「酒蔵」はどこか?
現在日本には、毎年10,000㎘以上日本酒を生産している大手の酒蔵である酒造メーカーが約10社近くあります。
2021年時点の上位3位までの順位は次の通りです。
1⃣1位:宝酒造(所在地は京都府)
主力商品の銘柄は「松竹梅」です。全商品の年間生産量は46,221kℓです。
2⃣2位:白鶴酒造(所在地は兵庫県)
主力商品の銘柄は「白鶴」です。全商品の年間生産量は45,940㎘です。
3⃣3位:月桂冠(所在地は京都)
主力商品の銘柄は「月桂冠」です。全商品の年間生産量は35,059㎘です。
日本の歴史が古い「酒蔵」はどこか?
現在日本には歴史が古い酒蔵がたくさん残っています。
歴史が古い酒蔵の上位3位までの順位は次の通りです。
1⃣1位:須藤本家(所在地は茨城県)
創業は1141年で平安時代の永治元年です。
須藤本家は日本に現存する企業としても9番目に古い企業です。
ちなみに須藤家は元は豪族の出身で民間ではありません。
酒つくりを始めたきっかけは年貢米の活用の一環として始められました。
主力商品の銘柄は「郷乃誉(さとのほまれ)」です。
2⃣2位:飛良泉本舗(所在地は秋田県)
創業は1487年で、室町時代の応仁の乱の後の長享元年です。
主力商品の銘柄は「飛良泉(ひらいづみ)」です。
3⃣3位:剣菱酒造(所在地は兵庫県)
創業は1505年で、室町時代の永正2年です。
主力商品の銘柄は「剣菱」です。
まとめ
今回は、日本酒の「酒蔵」とは何かについてご紹介しました。
現在日本にはたくさんの酒蔵があります。
新規参入や事業継承で新しい経営者が続々と参入している状況です。
今後は世界の日本酒ブームの影響を受けて、新しい経営者のもとで世界に冠たる銘柄がつくられることが予想されます。
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