日本酒の酒蔵の構成とは?酒蔵はどんな人たちが運営しているのか?
日本酒の酒蔵の運営はどんな構成になっているのでしょうか?
日本酒といえば、真っ先に思い浮かぶのが「杜氏」です。
杜氏は酒蔵における酒づくりの責任者といわれています。
ただし実際に作業をするのは杜氏ではなく「蔵人」という人たちです。
では、日本酒の酒蔵はどんな構成になっているのでしょうか。
今回は、日本酒の酒蔵の構成とは・酒蔵はどんな人たちが運営しているのかについて、どこよりもわかりやすくご紹介します。
酒蔵とは何か?
酒蔵とはお酒をつくっている施設のことです。
酒蔵の読み方は「さかぐら」と読みます。
酒蔵の意味は「お酒を醸造して貯蔵する蔵」という意味があります。
「〇〇蔵」の使い方
酒蔵など、日本にはさまざまな「〇〇蔵」があります。
こちらでは「〇〇蔵」の使い方についてご紹介します。
1⃣日本酒蔵(にほんしゅぐら)
日本酒蔵とは日本酒をを醸造して貯蔵する蔵のこと
2⃣焼酎蔵(しょうちゅうぐら)
焼酎蔵とは焼酎を製造・貯蔵している蔵のこと
3⃣醤油蔵(しょうゆくら)
醤油蔵とは醤油を製造・貯蔵する蔵のこと
4⃣味噌蔵
味噌蔵とは味噌を製造・貯蔵する蔵のこと
酒蔵で働く人たち
酒蔵は蔵元を頂点として、杜氏・蔵人などが働いています。
基本的に酒づくりは「冬場」が繁忙期で、春〜秋にかけては閑散期になり人員は少なくなります。
酒づくりの現場は高度な専門的知識と技術が必要とされる現場です。
そのため酒づくりにはスペシャリストたちが活躍しています。
ところで酒蔵の人員の構成は中々一般の人にはわかりにくい構成です。
こちらでは酒蔵で酒づくりに携わる人たちの「呼び方」や「業務内容」についてどこよりもわかりやすくご紹介します。
蔵元とは何か?
蔵元とは「蔵」の当主のことです。
蔵元の読み方は「くらもと」と読みます。
蔵元はお酒・焼酎・醤油・味噌・酢などの醸造元という意味です。
またお酒・焼酎・醤油・味噌・酢メーカーの所有者・経営者・運営者・オーナー・社長・製造元一家という意味もあります。
基本的に蔵元は家業がほとんどで、創業から数えて10代目の代表のことを「10代目蔵元」などと呼びます。
日本酒の酒蔵は、蔵元を頂点として、杜氏・蔵人などが酒づくりを行っている構造です。
ただし蔵元自体は基本的に酒づくりはおこなっておらず、主に酒メーカーの経営面を担当しています。
また小さな酒蔵では「蔵元」と「杜氏」を同時に兼任している「蔵元杜氏」が経営と実務を兼務しているケースもあります。
杜氏とは何か?
杜氏とは酒蔵においての現場の最高責任者で、現場監督です。
杜氏の読み方は「とうじ」と読みます。
杜氏は1つの蔵元に1人しかいません。
杜氏の主な業務は次の3つです。
1⃣原料選び・醸造・酒しぼり、貯蔵、熟成・品質管理の全行程の管理
2⃣発酵の調整と品質のチェック
3⃣蔵人の技術指導、蔵人たちのマネジメント業務
もともと杜氏はフリーランスでしたが、現在は社員になって蔵元に勤めているケースも多くなってきました。
蔵人とは何か?
蔵人とは酒蔵で杜氏の下で、実際に現場でお酒づくりをする職人・作業員のことです。
蔵人の読み方は「くらびと・くらんど」と読みます。
蔵人はお酒づくりをする職人・作業員の総称のことで、実際現場では次のいくつかの役職に分かれます。
①頭
頭とは杜氏の補佐役・右腕のことです。
頭の読み方は「かしら」と読みます。
主な業務は蔵人の指揮・命令・人員の配置を担当します。
頭は酒蔵の現場の実質的なナンバー2です。
また「頭」と次に紹介する「麹師」と「酛屋」の3つの職種を合わせて「三役」といいます。
➁麹師
麹師とは麹造りの責任者のことです。
麹師の読み方は「こうじし」と読みます。
また別名「大師・代師・代司(だいし)」とも呼ばれます。
酒蔵によって呼び方が異なります。
主な業務は製麹(せいきく)です。
製麹とは、蒸米に種麹を振りかけて麹菌を繁殖させて米麹を造る作業のことです。
麹師の助手は「相麹(あいこうじ)」と呼ばれています。
➂酛屋
酛屋とは酒母造りの責任者のことです。
酛屋の読み方は「もとや」と読みます。
また別名「酛廻し(もとまわし)・酛師(もとし)」とも呼ばれます。
主な業務は清酒酵母を培養し、酒の元となる「酛(酒母)」を育てることです。
酛屋の助手は「室の子」と呼ばれています。
以上が「三役」です。
次に紹介するのが「働き」です。
④釜屋
釜屋とは蒸米の責任者のことです。
釜屋の読み方は「かまや」と読みます。
主な業務は酒米の洗米・米量り・甑(こしき)蒸し・釜の焚き付けなどです。
⑤精米屋
精米屋とは精米の責任者のことです。
精米屋の読み方は「せいまいや」と読みます。
主な業務は酒米の玄米を精米(削る)することです。
デンプン以外の栄養素をお酒に合った意図で削ったり、残したりします。
⑥船頭
船頭とは醪(もろみ)のしぼりの責任者のことです。
船頭の読み方は「せんどう」と読みます。
主な業務は醪のしぼりです。
名前の由来はしぼりに使う道具を槽(ふね)と呼ぶことから、ふね(船)を漕ぐ職人を束ねるという意味で船頭と呼ばれるようになりました。
道具廻し
道具廻しとは酒づくりの道具の管理や運搬などをする雑用係のことです。
道具廻しの読み方は「どうぐまわし」と読みます。
道具廻しには主に次の3つの職種があります。
1⃣上人(じょうびと)
上人とは、主に桶洗い、水汲み、道具の準備をする係のことです。
2⃣中人(ちゅうびと)
中人とは、主に水汲み、米洗い、蒸米運搬をする係のことです。
3⃣下人(したびと)
下人とは、主に洗い物、米洗い、水汲みをする係のことです。
まとめ
今回は、日本酒の酒蔵の構成とは・酒蔵はどんな人たちが運営しているのかについてご紹介しました。
酒蔵での酒づくりは、一般的に杜氏を含めて10人程度でつくることができます。
また最近は業務を分業せずに、蔵人全員で酒づくりをやっている酒蔵も増えてきました。
酒蔵を見学する機会があれば、ぜひ酒づくりの工程も見学することをおすすめします。
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