日本酒をおいしく飲める「各打ち」とは?立ち飲みと何が違う?
「各打ち」というお酒の飲み方があるのをご存じでしょうか。
角打ちは、仕事帰りに1杯ひっかけてから帰るというのがぴったりの飲み方です。
立ち飲みではありますが、一般的な飲み屋とはまるで雰囲気が異なります。
一度飲んでみると、クセになる飲み方です。
では、角打ちとは一体どんな飲み方なのでしょうか。
今回は、日本酒をおいしく飲める「各打ち」とは・立ち飲みと何が違うかについて、どこよりもわかりやすくご紹介します。
そもそも「各打ち」とは何か?
各打ちとは、酒屋の一角で立ったままお酒を飲むスタイルのことです。
各打ちの読み方は「かくうち」と読みます。
❶各打ちの名前の由来
各打ちの名前の由来は、次の2つの説があります。
1⃣升飲み説
1つ目は升飲み説です。
升飲み説とは、酒屋さんでお酒を買って、店頭で直接升の角に口をつけて飲んでいたという説です。
もともと江戸時代は酒屋の名前が書かれた「通い徳利(かよいどっくり)」と呼ばれる陶磁製の容器を持って量り売りでお酒を買うスタイルでした。
その中で、家まで我慢できないお客が「升飲み」「升酒」という飲み方をやり、これが角打ちの由来になったといわれています。
2⃣酒屋の一角で飲む説
2つ目は酒屋の一角で飲む説です。
こちらも酒屋で買ったお酒を家まで待てない客が、酒屋の一角で飲んだことから各打ちの名前の由来になったといわれています。
角打ちの「打つ」には、「お酒を飲む」という意味があります。
❷角打ちはいつから始まったのか?
角打ちというスタイルが始まったのは大正時代頃からです。
始まったきっかけは大正時代の北九州で、工場・炭鉱・港湾で働く労働者が、仕事帰りに酒屋によって「キュッ」と一杯お酒をひっかけたことが、角打ちの始まりだといわれています。
❸角打ち発祥の場所
角打ち発祥の場所は主に北九州地域の次の場所です。
1⃣門司港
2⃣八幡製鉄所
3⃣筑豊炭田
4⃣小倉炭鉱
このように角打ちは北九州の中でも、特に肉体労働者が多い場所で発展しました。
角打ちの5つの特徴
こちらでは角打ちの5つの特徴についてご紹介します。
❶現金前払い
1つ目の特徴は角打ちは現金前払いです。
現金前払いとは、お酒を1回ごとに買ってから飲むということです。
一般的なお店は、飲食後にまとめて精算しますが、角打ちは都度現金払いになっています。
そのためお金を使い過ぎたということがありません。
❷料理の提供はしない
2つ目の特徴は角打ちは料理の提供はしないことです。
そのため料理はつくりません。
ただしおつまみや食べ物はあります。
角打ちでは乾き物・缶詰・レトルト・冷凍食品・駄菓子・スナック菓子など、開封してすぐに食べられるものやお客が自らレンジでチンして食べられるものを提供してくれます。
❸料金が安い
3つ目の特徴は角打ちは料金が安いことです。
角打ちは基本的に千円でベロベロに酔える「センベロ」です。
そのため結構飲み食いしても、ほぼ1000円くらいで気持ちよく酔うことができます。
❹敷居が低い
4つ目の特徴は角打ちは敷居が低いことです。
角打ちはドレスコードや前もっての予約などは一切不要です。
自分が飲みたいと思ったその場でふらっと立ち寄ることができます。
❺さまざまな銘柄のお酒が飲める
5つ目の特徴は角打ちではさまざまな銘柄のお酒が飲めることです。
角打ちは、日本酒好きにとってはまさにパラダイス。
酒屋によっては日本全国のお酒をそろえているお店も多く、飽きがきません。
毎回違った銘柄のお酒を少しづつ楽しむことができます。
角打ち・立ち飲み屋・居酒屋の違い
こちらでは角打ち・立ち飲み屋・居酒屋の違いについてご紹介します。
❶角打ち
1⃣お店の形態
角打ちのお店の形態は酒屋です。
酒屋の一角で立ったまま飲みます。
2⃣料金の支払い方法
角打ちの料金の支払い方法は前払いです。
3⃣料理の提供
角打ちでは料理の提供はありません。
ただし酒の肴やおつまみは食べられます。
4⃣お店のサービス
角打ちのお店のサービスはほぼセルフサービスです。
後片付けまですべてお客がしなければなりません。
❷立ち飲み屋
1⃣お店の形態
立ち飲み屋の形態は居酒屋です。
ただし飲食は立ったままおこないます。
2⃣料金の支払い方法
立ち飲み屋の料金の支払い方法は後払いです。
3⃣料理の提供
立ち飲み屋では料理の提供があります。
4⃣お店のサービス
立ち飲み屋のお店のサービスは半分セルフです。
カウンターだけなら、後片付けは不要です。
❸居酒屋
1⃣お店の形態
居酒屋の形態は日本式の料理屋です。
飲食は座ってできます。
2⃣料金の支払い方法
居酒屋の料金の支払い方法は後払いです。
3⃣料理の提供
居酒屋では料理の提供があります。
4⃣お店のサービス
居酒屋のお店のサービスはすべてお店がやってくれます。
まとめ
今回は、日本酒をおいしく飲める「各打ち」とは・立ち飲みと何が違うかについてご紹介しました。
角打ちは日本の飲み屋の中でもかなりユニークなスタイルです。
「仕事帰りに一杯飲みたい」という、ささやかな楽しみを提供してくれます。
まだ各打ちの経験が一度もない方は、ぜひ角打ちを体験してみることをおすすめします。
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