クラフトビールの「ピルスナー」とはどんなビアスタイルなのか?
クラフトビールのビアスタイルの中で、もっともメジャーなのが「ピルスナー」です。
初めて名前を聞いた人でも、銘柄を伝えると「あっ、あれのことか!」とすぐにピンとくることでしょう。
それほど「ピルスナー」は有名なビアスタイルです。
今回は、クラフトビールの「ピルスナー」とはどんなビアスタイルなのかについて、どこよりもわかりやすくご紹介します。
ピルスナーとはどんなクラフトビールなのか?
ピルスナーとは、チェコの「ピルゼン」で誕生したビアスタイルのことです。
「ピルゼン」で誕生したことから「ピルスナー」という名称になりました。
誕生したのは19世紀の中頃の1842年です。
ピルスナーを初めてつくったのはドイツのバイエルン地方の醸造家ヨーゼフ・グロール氏です。
初めて製品化されたビールの銘柄は「ピルスナーウルケル」といいます。
2017年3月からは日本のアサヒビールが所有しています。
ピルスナーのカテゴリーはラガービールです。
ラガービールとは「下面発酵」でつくられるビールのことになります。
特徴は美しく透き通った黄金色で、白く力強い泡立ちで、すっきりとしたキレのある味わいを持つビールです。
ちなみにピルスナーは大きく分けて「ボヘミアンピルスナー」と「ジャーマンピルスナー」の2種類があります。
チェコでピルスナーが誕生した理由とは?
チェコでピルスナーが誕生した理由は次の2点です。
❶隣国のドイツからビールづくりを学んだから
❷チェコの水が「軟水」だったから
それぞれ詳しくご紹介します。
❶隣国のドイツからビールづくりを学んだから
1つ目の理由は隣国のドイツからビールづくりを学んだからです。
19世紀のチェコは「エールビール」をつくっていた国でした。
ただし当時のチェコのエールビールは、腐敗しやすく、品質が悪いビールでした。
どれくらい品質が悪いかというと、政府から度々ビール廃棄命令が出るほどです。
そこでチェコの醸造家たちは、隣国のドイツから醸造技師を招いてビールの技術を学ぶことになります。
ところでドイツから招いた醸造家ヨーゼフ・グロール氏は「低温長期熟成技術」を使った生粋の「ラガービール」のつくり手です。
そのため「ラガービール」の製法が用いられ、チェコで「ピルスナー」が誕生することになります。
ただし一説には従来からつくっていたビール製法で仕込もうとして、醸造が失敗して偶然「ピルスナー」が誕生したともいわれています。
❷チェコの水が「軟水」だったから
2つ目の理由は、チェコの水が「軟水」だったからです。
実はビールづくりは水に大変影響を受けるお酒です。
ヨーゼフ・グロール氏がやってきたバイエルン地方の水は重炭酸塩が多い「硬水」でした。
それに対しチェコの水は「軟水」です。
すると、同じような原材料でビールをつくっても、チェコでつくると「透明」になり、バイエルン地方でつくると「濃い」ビールができあがります。
この水の硬度の違いがピルスナービールの「色」の違いに影響を与えています。
以上、これら2つがチェコで「ピルスナービール」が誕生した理由です。
具体的にピルスナーとはどんなビールなのか?
具体的にピルスナーとは「アサヒスーパードライ」のようなビールです。
実は日本のビールの95%がピルスナーです。
それほどピルスナーは日本人に愛され、日本の主流派のビールになりました。
また「キリン一番搾り」「サッポロ黒ラベル」「サントリーモルツ」もピルスナーです。
ちなみに世界のビールの80%以上はピルスナービールになります。
ピルスナーの種類とは?
ピルスナーには2つの種類があります。
それぞれご紹介します。
❶ボヘミアンピルスナー
ボヘミアンピルスナーとは、チェコの最西部「ピルゼン(ボヘミア地方)」で誕生したことに由来するピルスナービアスタイルのことです。
モルトの風味や甘みなどが強く、芳醇な香りで、色は透明感が高く泡がきめ細かいビールです。
アルコール度数は4.5〜5.5%で、有名な銘柄は「ピルスナー・ウルケル」になります。
ちなみに日本のピルスナービールとはタイプが異なり、古いタイプのピルスナービールです。
❷ジャーマンピルスナー
ジャーマンピルスナーとは、ボヘミアンピルスナーがラガービールの本場ドイツに逆輸入されて広がったピルスナービアスタイルのことです。
同じ製法で醸造していますが、原材料や水の特徴が違うことから、タイプが異なるピルスナービールになりました。
特徴はボヘミアンピルスナーと比べると色は濃く、ホップの苦みが効き、爽やかでドライなのど越しを感じるビールになります。
簡単にいうと「アサヒスーパードライ」のようなビールです。
ちなみに日本の大手ビール会社がつくるピルスナービールはほぼジャーマン・ピルスナーの影響を受けてつくられています。
まとめ
今回は、クラフトビールの「ピルスナー」とはどんなビアスタイルなのかについてご紹介しました。
ピルスナースタイルは、現在ビールの主流派です。
味わいと品質がよく、大量生産ができることから特に大手ビール会社に好まれています。
ただしクラフトビールでも人気があり、現在多くのマイクロブルワリーでつくられています。
ぜひ、一度ピルスナースタイルでつくられたクラフトビールを味わってみてはいかがでしょうか。
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