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日本酒の「灘の男酒」と「伏見の女酒」の違いとは?

日本酒の「灘の男酒」と「伏見の女酒」の違いとは?

日本酒はつくられる場所によって「男酒」や「女酒」に分けられるといわれています。

本当のことでしょうか。

では、男酒や女酒とは一体どんなお酒なのでしょうか。

今回は日本酒の「灘の男酒」と「伏見の女酒」の違いについて、わかりやすくご紹介します。

そもそも日本酒には本当に「男酒」と「女酒」があるのか?

結論、日本酒には「男酒(おとこざけ)」と「女酒(おんなざけ)」があります。

違いは「味わい」です。

❶「男酒」とはどんな味わいのお酒なのか?

男酒とは力強い味わいが特徴のお酒です。

荒々しく、強い辛み、酸味が高く、キリッとしたキレがあります。

代表的なお酒は「灘の酒」で、別名「灘の男酒」といいます。

❷「女酒」とはどんな味わいのお酒なのか?

女酒とはなめらかで繊細な口当たりが特徴のお酒です。

優しく、甘味が強く、酸味がとれ、柔らかな味わいを楽しむことができます。

代表的なお酒は「伏見の酒」で、別名「伏見の女酒」といいます。

灘と伏見は日本の二大酒どころですが、飲んだ味わいはまったく真逆のタイプのお酒です。

なぜ「男酒」や「女酒」といわれるようになったのか?

こちらでは「男酒」や「女酒」といわれるようになった3つの理由についてご紹介します。

❶他の酒どころと差別化するため

1つ目の理由は他の酒どころと差別化するためです。

「灘の男酒」というキャッチコピーがいわれだしたのは、江戸時代中期以降です。

もともとは洒落っ気のある江戸っ子たちの言葉遊びが由来といわれています。

ところが酒どころ「灘」からするとぴったりのネーミングだったことから、他の酒どころと差別化するために自分たちでも積極的にアピールするようになり「灘の男酒」が全国に広がっていきました。

ちなみに「伏見の女酒」は「灘の男酒」のライバル酒として、後から呼ばれるようになりました。

❷杜氏の気質がお酒のイメージを形成したから

2つ目の理由は杜氏の気質がお酒のイメージを形成したからです。

江戸時代、灘のお酒は「灘の生一本」といわれていました。

当時の灘の酒づくりをおこなっていたのは丹波杜氏です。

丹波杜氏の寡黙な仕事ぶり、1つのことにひたむきに打ち込む姿はまさに「男酒」というイメージを形成していったといわれています。

また当時の伏見の酒づくりの主流は越前杜氏です。

越前杜氏の持つ誠実な働きぶり、控え目な性格、温かく信頼できる人柄などから「女酒」というイメージを形成していったといわれています。

❸水質の違い

3つ目の違いは水質の違いです。

灘の酒は「灘の宮水(なだのみやみず)」が原料に使われています。

リン・カルシウム・カリウムなどのミネラルが多く含まれている中硬水です。

灘の宮水でつくったお酒は「コク・キレがあり、スッキリとした味わい」です。

そのため江戸の人たちから「男酒」といわれるようになったといわれています。

また伏見の酒は「伏見の御香水(ふしみのごこうすい)」が原料に使われています。

ミネラル含有量が少ない軟水です。

伏見の御香水でつくったお酒は「甘みを感じるほどのノドごしの良さ」が特徴で、もともとは宮廷料理から発展し派生した京料理に合うお酒としてつくられました。

そのため京の人たちから「女酒」といわれるようになったといわれています。

「灘の男酒」とは何か?

灘の男酒とは、兵庫県の灘五郷(なだごきょう)でつくられる日本酒のことです。

❶「灘の男酒」といわれたのはいつからか?

「灘の男酒」といわれたのは、江戸時代の元禄時代以降といわれています。

きっかけは灘のお酒が江戸で圧倒的な人気になったからです。

灘の酒はそれまで下り酒の人気ナンバー1の伊丹の「丹醸」を市場から追い出したほど人気になりました。

❷「灘の男酒」の特徴

灘の男酒の特徴は、やや酸味の強い辛口で、味わいの押し出しが強い酒質です。

理由は灘の宮水は酵母の栄養源となるミネラル分が多く、短期間で発酵することからやや酸味が多い辛口に仕上がるためです。

❸「灘の男酒」の代表銘柄

灘の男酒の代表銘柄は次の通りです。

1⃣菊正宗

2⃣白鶴

3⃣大関

「伏見の女酒」とは何か?

伏見の女酒とは、京都府の伏見でつくられる日本酒のことです。

❶「伏見の女酒」といわれたのはいつからか?

「伏見の女酒」といわれたのは「灘の男酒」に対して、伏見のお酒が「女酒」と呼ばれるようになったという説が有力です。

ただし酒づくりが始まったのは伏見の方がはるかに先です。

伏見の酒づくりが始まったのは5世紀頃で、日本に渡来した渡来氏族の秦人(はたびと)からといわれています。

❷「伏見の女酒」の特徴

伏見の女酒の特徴は酸味は控えめ、なめらかで、きめの細かい淡麗な風味を持つ酒質です。

理由はミネラル分が比較的少ない軟水を使い、時間をかけてゆっくりと発酵をおこなうことから、荒々しさが抜け、カドがとれた、優しい味わいに仕上がるからです。

❸「伏見の女酒」の代表銘柄

伏見の女酒の代表銘柄は次の通りです。

1⃣花洛 純米吟醸 甘口

2⃣聚楽第 純米吟醸

3⃣純米酒 坤滴

まとめ

今回は日本酒の「灘の男酒」と「伏見の女酒」の違いについてご紹介しました。

「灘の男酒」と「伏見の女酒」は、面白いほどまったく正反対のお酒です。

辛口をお求めの方は「灘の男酒」を、逆に甘口をお求めの方は「伏見の女酒」を選ばれることで間違いなしです。

ぜひ、まだの方はどちらも一度はお試しになってみることをおすすめします。

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