日本酒の「つくり方」とは?全18工程を基礎からわかりやすく解説!
日本酒はどんな流れでつくられているのでしょうか?
日本酒づくりは非常に複雑で、いくつもの工程を経てつくられます。
そのため一般の方には「日本酒づくりはわかりづらい」といわれています。
では、日本酒はどうやってつくられているのでしょうか。
今回は日本酒の「つくり方」について、どこよりもわかりやすくご紹介します。
①原料の準備
1番目の工程は「原料の準備」です。
日本酒をつくるための主な原料はお米(玄米)・米麹・水・酵母・醸造アルコールの5つです。
最初に用意するのは酒米(さかまい)としてつくられた「お米(玄米)」を用意します。
この「お米(玄米)」が、各工程を経て掛米・麹米・酒母米になります。
原料としてよく使われる酒米は山田錦・五百万石・雄町などです。
➁精米(せいまい)
2番目の工程は「精米」です。
精米とは玄米の表面の糠(ヌカ)の部分を削って白米にすることです。
ただし日本酒づくりの精米は一般の精米とは異なります。
日本酒の精米は、さらに表面のタンパク質・脂質を削り、最低でも精米歩合70%程度まで削ります。
精米歩合とは、削った後に残ったお米の割合のことです。
➂洗米(せんまい)
3番目の工程は「洗米」です。
洗米とは、精米後のお米の表面に付着している糠・米粉を洗い流す作業のことです。
現在はほとんど洗米機を使って洗っています。
ただし大吟醸などのプレミアム酒は現在でも手作業で洗っています。
④浸漬(しんせき)
4番目の工程は「浸漬」です。
浸漬とは、精米したお米を水に漬けて、米粒の中心にまで水分を十分に吸収させる作業のことです。
浸漬をする理由は、蒸しあがったお米にムラができないようにするためにおこなわれます。
お米の品種・目指す酒質によって、浸漬時間はすべて異なります。
⑤蒸米(じょうまい)
5番目の工程は「蒸米」です。
蒸米とは、お米を蒸す作業のことです。
食用米は炊きますが、酒用米はお米を蒸します。
蒸米をする理由は、蒸気でお米を蒸すことでデンプン質を「アルファ化(糊化)」するためです。
アルファ化することで、麹菌が繁殖しやすくなり、麹菌が生産する糖化酵素の作用を受けやすくなります。
ちなみに蒸したお米は次の3タイプのお米に変わります。
1⃣醪(もろみ)づくりに使われる「掛米(かけまい)」
2⃣麹(こうじ)づくりに使われる「麹米(こうじまい)」
3⃣酒母づくりに使われる「酒母米(しゅぼまい)」
蒸米を振り分けた時の割合は掛米7〜8割、麹米2〜3割、酒母米1割です。
⑥放冷(ほうれい)
6番目の工程は「放冷」です。
放冷とは、蒸しあがったお米を最適な仕込み温度になるように熱を冷ますことです。
放冷をする理由は、掛米・麹米・酒母米が糖化や発酵などの活動をしやすい温度にするためにします。
⑦麹づくり
7番目の工程は「麹づくり」です。
麹づくりとは、放冷したお米に麹菌を繁殖させて麹米をつくる作業のことです。
麹づくりは正確には、麹菌をお米などの穀物に生やして「酵素」を分泌させることをいいます。
この作業を「製麹(せいぎく)」とも呼びます。
⑧酒母づくり(しゅぼづくり)
8番目の工程は「酒母づくり」です。
酒母づくりとは、酵母を大量に増殖させ酒母米をつくる作業のことです。
酵母とは、糖をアルコールと炭酸ガスに分解する微生物のことをいいます。
⑨醪(もろみ)づくり
9番目の工程は「醪づくり」です。
醪づくりとは「原酒」の前段階の液体をつくる作業のことです。
醪とは掛米・麹・酵母が一体化した白く濁って泡立ちのある粘度の高い液体のことをいいます。
ちなみに日本酒用語の「醪」=「仕込み」=「造り」 は同じ意味です。
⑩醸造アルコールの添加
10番目の工程は「醸造アルコールの添加」です。
醸造アルコールの添加とは、醪に醸造アルコールを加えることです。
上槽前に、醸造アルコールは添加する必要があります。
醸造アルコールを添加する理由は主に次の3つです。
1⃣日本酒を薄めて、味わいを軽快にして、キレを良くするため
2⃣日本酒の香りを引き出すため
3⃣お酒の腐敗を防ぐため
一見醸造アルコールは、純粋な日本酒をつくる上ではよくないイメージがあるかもしれません。
ところが日本酒を美味しく飲むには欠かせないアルコールです。
⑪上槽(じょうそう)
11番目の工程は「上槽」です。
上槽とは、醪を搾って「原酒」と「酒粕」に分ける作業のことです。
ただし上槽は各酒蔵や日本酒の種類によってタイミングが異なります。
⑫濾過(ろか)
12番目の工程は「濾過」です。
濾過とは、醪を搾った後の原酒に含まれる「滓(おり)」を取り除く作業のことです。
濾過をする理由は原酒の雑味・好ましくない香り・酵素・乳酸菌を除去したり、色を無色透明にするためにおこないます。
⑬火入れ
13番目の工程は「火入れ」です。
火入れとは、原酒を加熱する作業のことです。
火入れをする理由は、原酒の雑菌の繁殖を防ぎ、酵母の働きを止めて劣化を防ぐために行います。
⑭貯蔵
14番目の工程は「貯蔵」です。
貯蔵とは若酒の刺激的で荒々しい味わいを取り、まるみのある調和のとれた飲みごろの味わいにするための保管作業のことです。
貯蔵は貯蔵タンクで6カ月から1年間ほどおこないます。
⑮調合
15番目の工程は「調合」です。
調合とは貯蔵された全てのお酒の香り・味わい・色などを同じ酒質に調整するための作業のことです。
調合することで、各銘柄のイメージにそった香り・味わい・色に均一化することができます。
⑯割水(わりみず)
16番目の工程は「割水」です。
割水とは、日本酒の一般的なアルコール度数である15〜16度程度に薄めるための作業のことです。
割水をする理由は原酒の状態のアルコール度数は20度くらいあるので、アルコール度数を下げて飲みやすくするためにおこないます。
別名「加水調整」ともいいます。
⑰瓶詰
17番目の工程は「瓶詰」です。
瓶詰とは、日本酒を一升瓶などの瓶に瓶詰めする作業のことです。
⑱火入れ
18番目の工程は「火入れ」です。
火入れとは、出荷前に調合・割水されたお酒にもう一度火入れをしてお酒を安定させる作業のことです。
日本酒の火入れは、通常貯蔵前と瓶詰め後の2回おこなわれます。
また日本酒は最後の火入れが終わると蔵から出荷することができます。
まとめ
今回は、日本酒の「つくり方」についてご紹介しました。
日本酒のつくり方は複雑で、作業工程が多く、簡単ではありません。
そのため他のジャンルのお酒と比べると、華やかで、斬新で、バリエーションの多い味や香りをつくりだすことが可能です。
今回の記事を参考にして、ぜひ日本酒づくりに興味を持ってみることをおすすめします。
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